「良い戦略、悪い戦略」という本を読みました。
ポイントを以下に紹介します。経営戦略の参考になれば幸いです。
戦略とは行動指針の集合体
まず戦略とは、重大な課題に取り組むための、分析や構想や行動指針の集合体です。
つまり良い戦略は、「今何をすべきか」をはっきりと実現可能な形で示します。
リーダーの役割は、前進を妨げる重大な障害物を見極め、それを乗り越えるための首尾一貫した戦略を出すことです。
・効果が高まるポイントを見極める
・それを単純明快に表現する
・そして手持ちのリソースを集中させる
単に売上目標を掲げることでもなければ、努力やビジョンなど曖昧な言葉を使うことでもありません。
良い戦略の基本構造
良い戦略は、以下の3つの核で構成されます。
①診断(取り組むべき課題の見極め)
②基本方針(課題にどう取り組むか)
③行動(方針の実行)
良い戦略は「何をするか」を示すだけではなく、「なぜやるのか」「どうやるのか」まで示します。
それにより、一貫した行動が生まれます。
セブンイレブンの例を紹介します
診断:日本の消費者はすぐに飽きる
基本方針:常に消費者が求める新しいものを提供する
行動:エリアごとに新商品を提案するチームの設置、食品メーカーとの連携強化、安価なプライベートブランドの提供
戦略に沿ってリソースを集中することで、テコのような強力な効果を生み出すことができます。
悪い戦略の特徴
以下4つのどれかに当てはまると、悪い戦略になります。
・空疎である(なぜやるのか分からない)
・重大な問題に取り組まない(他に優先すべきことがある)
・目標を戦略と取り違えている(何をすべきか分からない)
・間違えた戦略目標を掲げている(それをやっても意味がない)
会社においては経営理念が最終目標で、それを達成するために必要なのが戦略目標です。
上記をふまえると、良い戦略かを確認するには次の4つの質問に答えるといいでしょう。
①シンプルで分かりやすいか
②その課題の解決は将来につながるか
③目標(こうなりたい)ではなく、何をするかが明快になっているか
④その戦略目標を達成したら、最終目標の達成に貢献できるか
戦略とは仮説である
いざ戦略を設計しようと思っても、まず何から始めていいか分からないかもしれません。
そもそも戦略とは、「こうすればうまくいくはずだ」という仮説です。
知識と知恵に基づいて設計し、成功するまで検証を繰り返して作り上げます。
設計においては、例えば以下の手法があります。
ローカライズ:都市や海外の事例を試してみる
競争を避ける:他社が相手にしていない層をターゲットにする
独自情報による改善:自社のデータをもとにプロセスやサービスを修正
検証は、自分の戦略を自分で破壊してみることが効果的です。
「それはなぜか?」という自問自答を繰り返す
自分の戦略の矛盾や間違いを見つけ出す
自分の戦略の弱点を見抜く
間違いは修正し、弱点は克服します。
この繰り返しで、最適な戦略ができあがっていきます。
戦略において重要な3つのポイント
最後に、戦略において重要なポイントをまとめます。
Noと言うこと
良い戦略は必ずしも画期的なアイデアではありません。
むしろ、教科書に出てくるような定石中の定石が有効だったりします。でも、ビジネスではあちこちの利害関係者に配慮する必要があり、様々な事情で定石を実行できることは少ないのが現実です。
結果として、リソースを集中どころか分配してしまいます。
大事なのは、戦略に沿っていない要求にはNoと言うことです。
戦略におていは、「何をやらないか」は「何をやるか」と同じように重要です。
競争優位性をつくること
もっとも効果的な経営戦略は、強みを最大限に活かして相手の弱点を突くことです。
最も効果的なポイントを見極め、そこにリソースを集中させます。
「あれもこれも」という考え方では、競争優位性はつくれません。
戦略は、一つに限定する必要があります。それは、次の質問に答えることで見つかります。
もしたった一つの戦略しか選べず、それは実現可能でなければならないとしたら、何を選びますか?
一番効果的なものを選択するはずです。
原因を究明する
取り組むべきは結果ではなく、その原因です。
なぜそうなったかを明らかにすることで、対策と改善が可能になるからです。
とはいえ、これができる人は多くありません。
自分の失敗と向き合い、「できない」という厳しい現実を受け入れる必要があります。
だからこそ、絶対に避けてはなりません。
現実を受け入れなければ、戦略はただの夢物語で終わります。